コラム vol.3では左官についてご紹介いたしました。
今回は「モールテックス」にスポットを当ててお話したいと思います。
その前に左官材料のお話を少しばかり。
一般的な左官材料である「モルタル」は セメント(粉)+砂+水 で構成されています。
壁や床の仕上げ材料やコンクリートブロックやレンガ積みの接着剤として使われます。
モルタルは材料における水の割合が多く、乾燥による収縮が大きくひび割れ(=クラック)が起こりやすいという性質があります。
また下地によってはそのまま施工することができず、既存を解体して新たに下地をつくることが必要となることもあります。
今回ご紹介するモールテックスはベルギー生まれ、
屋内外あらゆる下地に対応し、機能性と意匠性に優れた左官材料です。
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ベルギーに本社を置くBEAL INTERNATIONAL社によって製造されています。
ティープラスターでは7〜8年ほど前からモールテックスの施工を行ってきました。
(2019年 ベルギー本社を訪問させていただきました)
「機能性」
モールテックスは粉状製品を専用の攪拌液と混合します。水は使用しません。
乾燥による割れがなく、強靭な表面強度をわずか2〜3mmで実現します。
わたしたちがモールテックスを選ぶ理由のひとつにこの機能性があります。
鉱物下地をはじめ、木材・金属・スタイロフォーム・タイルなどの上から施工することが可能となります。
下地を選ばずに幅広い素材の上から施工することができるのです。
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解体しすべて新しくつくりかえるのではなく今あるものを生かして仕上げることで、産業廃物となってしまう量を減らすことができます。
また解体、新規造作を行わない分の時間や手間も削減することができます。こちらは工事コストの削減にもつながっていきます。
厚み2mmで防水層をつくることのできるモールテックスは水回りにご利用いただくことができます。
浴室をはじめ、キッチンシンクまわりや洗面台、洗面所や玄関の床などにも。
次の空間では床の一部分をモールテックスで施工し、その上で植物を置くという使われ方です。
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水が溢れても大丈夫。
まさにモールテックスの特徴を生かした使い方ですね!
「意匠性」
モールテックスには64色のカラーバリエーションがあります。
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一般的にコンクリートというとグレーを想像するように思いますが、モールテックスでは赤や緑、青、白、黒など幅広い色をつくりだすことができます。
費用的な面を考えるとモールテックスの施工単価は他の材料と比較すると高額になります。
モールテックス工事のみで見ると確かにそうなのですが、では工事全体で見たときにはどうでしょう。
解体や造作の手間がなくなり、また産業廃棄物も減るのでその分の費用が浮いてきます。その分を他に回すということも選択肢の一つになると思います。
これはモールテックスに限ったことではありませんが、空間をつくるにあたって大事なことは『何を一番優先するか』ということだと思います。
それが費用だという場合もありますし、工事時間や納期、機能、意匠などあらゆる可能性があります。
もちろん全部を叶えられることが一番だとは思いますが、状況としてどうしても難しい場合も多々あります。
空間づくりで悩まれた場合は"自分は何を一番にするのか"ということを思い出してみてください。
空間をつくる選択肢の一つとして「モールテックス」という作戦があるということを覚えておいていただけたら幸いです。
今回もお読みいただきありがとうございました。
また次回のFeelingでお会いしましょう!
Text:Isogai(T-PLASTER)
[コラム -Feeling–]
vol.1「木材」
vol.2「レジンテーブル」
vol.3「左官の考え方」
vol.4「家具のこと」
vol.5「ウッドプリント」
vol.6「薪」
vol.7「モールテックス」
vol.8「鉄」
vol.9「レインボー倉庫」
vol.10「丘の上」
vol.11「一枚板」